武漢ウイルス患者の病理解剖(3)

新型コロナウイルス患者の病理所見

武漢ウイルス患者の病理解剖(2)に続き、新たな2論文報告による所見をまとめます。
今回の論文の一つ(論文3)は、武漢大学病院の死後患者の生検材料の4症例と他はアメリカのニューオリンズで死亡した4例の剖検報告でアメリカでは最初の研究報告(論文4)です。

両論文とも画像を保存し、ここにお示しすることはできませんでした。
実際の病理所見像や胸部放射線像は、直接論文を参照してください。
なお、ご希望があればお送りしますので、ご連絡下さい。
info@noni-ken.jp

論文3

Sufang Tian et al., Pathological study of the 2019 novel coronavirus disease (COVID-19) through postmortem core biopsy. Modern Pathology, published on line: 14 April, 2020. https://doi.org/10.1038/s41379-020-0536-x

症例1:78歳女性、既往歴‐慢性リンパ球性白血病、画像診断‐両側性肺炎、臨床経過22日
症例2:74歳男性、既往歴‐肝硬変、静脈瘤破裂出血、画像診断‐両側性肺炎、臨床経過15日
症例3:81歳男性、既往歴‐糖尿病、高血圧症、画像診断‐両側性肺炎、臨床経過23日
症例4:59歳男性、既往歴‐腎臓移植3か月、画像診断‐両側性肺炎、臨床経過52日

臨床所見:症例1の白血病例を除き、3例とも顕著なリンパ球減少
     全例とも発熱、核酸試験陽性
     全例ともLDHが上昇

病理検査材料:全身解剖は行わず、生検材料を肺、心臓、肝臓より採取。

病理所見:
     症例1:①急性びまん性肺胞傷害
          硝子膜形成、限局性の肺胞上皮の脱落、II型肺胞上皮の過形成および
          合胞巨細胞形成
         (急性白血病によるリンパ球浸潤)
     症例2:①急性びまん性肺胞傷害
          主として硝子膜形成
     症例3:①急性びまん性肺障害が顕著
          硝子膜形成、限局性の間質肥厚、うっ血、中等度炎症細胞の浸潤
     症例4:①びまん性肺胞傷害の基質化
          硝子膜形成、肺胞内出血、初期基質化、間質肥厚、
          小血管壁のフィブリノイド変性
          多数の肺胞内好中球の浸潤

     肝臓
     症例1:ウイルス感染と関連する所見なし
     症例2:古い肝硬変所見
     症例3:類洞拡張、限局性肝細胞壊死、類洞内にリンパ球中等度浸潤
     症例4:類洞拡張、限局性幹細胞壊死、限局性クッパー細胞の過形成
         類洞内および胆管部へのリンパ球浸潤

     心臓
     症例1および4:限局性の浮腫、間質線維化、心筋細胞の過形成
             炎症細胞の浸潤なし
     症例2および3:生検材料なし

論文4

Sharon E. Fox et al., Pulmonary and Cardiac Pathology in COPVID-19: The First Autopsy Series from New Orleans. 
https://doi.org/10.1101/2020.04.06.20050575 (not certified by peer review)

症例:米国で剖検された12例の内の4例
   44~76歳の男女、全員アフリカ系アメリカ人。
   全員肥満と高血圧(治療中)
   4例中3例は2型糖尿病、2例は慢性腎臓病、
   1例はmethotrexate(抗腫瘍、免疫抑制剤)服用。

臨床所見:全例とも3日間の咳と発熱。
     胸部放射線検査で両側性のすりガラス不透明像, 急性呼吸促拍症候群(ARDS)
     全例とも新型コロナウイルス検査で陽性。
     フェリチン、フィビリノーゲン、プロトロンビン時間の上昇、
     死亡24時間以内には好中球増加とリンパ球分画の低下。
     2例の死亡直前のD-ダイマーは著明に増加。

解剖肉眼所見:
     肺
     全例とも肺重量は増加。
     気管支内に白色粘液や桃色の泡。
     軽度~中等度の心外膜胸膜腔に漿液性胸水。
     ARDSに符合する両肺の浮腫と硬化があり、肺末梢部に暗色出血巣。
     小さく硬い血栓が肺末梢部に確認できた例もあり。
     大葉性肺炎所見はなし。

     心臓
     3例について観察。
      心肥大を認め、右心室の拡張が確認。
     その他特記すべき所見なし。

病理所見:肺  
     ①両側性のびまん性肺胞傷害
     ②主として間質や細気管支周囲に軽度~中等度のリンパ球の浸潤(CD4+, CD8+とも)
     ③CD4+リンパ球は小血管周囲に集積し、小血管内には血小板や小血栓形成。
     ④1例に肺出血巣
     ⑤肺胞内に剥離した2型肺胞上皮細胞はウイルス性細胞変化による細胞肥大、核肥大、
      明瞭な核小体。
      これらの細胞中にはウイルス封入体と思われるものも存在。
     ⑥硝子膜形成やフィブリン沈着が散見され、びまん性肺胞傷害と一致。
     ⑦肺胞壁の小血管は顕著に肥厚し、周囲の浮腫、
      毛細血管や小血管にフィビリン血栓の形成。
     ⑧注目すべき所見として、活性化した巨核細胞が肺胞壁内血管内にみられ
      血小板産生に関与を示唆する。

     心臓
     ①明らかなウイルス性心筋炎所見はなし。

 

西垣敏明

昭和23年兵庫県生まれ。県立八鹿高校、長崎大学薬学部卒業。薬剤師、医学博士(信州大学)。
製薬会社にて新薬の安全性研究に従事し、(財)食品薬品研究センター、国際協力事業団(JICA)派遣の専門家としてフィリピン保健省で国際協力に従事。
フィリピンに霊長類を用いた医薬品研究所設立に関与し、ODAの無償協力案件調査に従事。
インドネシアでノニに出会い、以後ノニおよびその他インドネシア産熱帯薬用植物の研究開発をインドネシア政府と共同で行っている。
東京ノニ研究所代表、信州大学医学部特別研究員。著書:ノニ科学読本1~4、漫画みなみのノニ子ドタバタ奮闘記、博士の愛したブアメラなど

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