蘇った熱帯薬用植物ノニ: 便秘からガンまで (7)

ノニのフェイク情報

プロゼロニンとゼロニン

パイナップルの酵素研究で有名なハワイ大学の故ラルフ・ハイニッキ(Ralph Heinicke)博士は、ノニ果実にはプロゼロニンという物質が多く含まれ、体内に吸収されてプロゼロニナーゼという酵素によってゼロニンに変化し、ゼロニンが様々な作用を発揮するというものです。
いわゆる「プロゼロニン‐ゼロニン説」です(11)。少し、化学の知識があればプロゼロニンもゼロニンも実在しない架空の物質と直ぐにわかります。

アメリカのM社は、この「プロゼロニン-ゼロニン説」を世界中に流布し、ノニジュースの啓蒙と販売に利用しました。
この説について、ハイニッキ博士にメールで問い合わせをしましたが、回答は得られずまま他界されてしまい、非常に残念に思います。博士はパイナップルの酵素研究の第一人者であり、長崎大学薬学部や日本の製薬会社と共同研究もされた方です。

ハワイ大学のマックゥラチィー(Will McClatchey)博士のノニに関する論文中にプロゼロニンとゼロニン物質が記述されています。しかし、博士は両物質が確認できないこと、編集者も植物化学や薬理学のデータベースに両物質名は見当たらないと論説しています(12)。
端的に言えば、プロゼロニンもゼロニンも架空の物質であるということが、ハイニッキ博士が教鞭をとったハワイ大学で否定されているのです。

日本のノニジュース販売会社のウェブサイトには、今だにプロゼロニン・ゼロニン説が取り上げられています。ノニを人の健康のためでなく、商業上の利益のみで販売しているのです。残念でなりません。

ダムナカンタール

数十種類以上の植物エキスの抗腫瘍効果のスクリーニングの研究は慶応大学で行われ、ノニの根の抽出エキスに極めて高い抗腫瘍効果が認められています。有効成分はアントラキノン系のダムナカンタールという物質です。
この研究自体は評価されるもので、腫瘍発生に関するRas遺伝子形質転換細胞の活性をダムナカンタールが抑制します(13)。

ダムナカンタールは果実には含まれていません。
しかし、果実由来のノニジュースの効果を示す情報として、巧妙に販売の宣伝材料に使われてしまいました。

フェイク情報を信じる販売者と消費者

このように、虚構の物質そして根を果実に置き換えて、ノニジュースの効果を広めたアメリカ系のノニジュース製造販売者がいました。当時、ノニ果実についてはほとんどの方が知らず、アメリカ人の言うことは正しいと盲目的に信じてしまうのは避けられないことです。
ノニジュース販売者と消費者は、犠牲者と言えるでしょう。

ただ、残念なことに、今だにプロゼロニンやゼロニンをノニの効果成分としてノニジュースを販売するものがいますし、信用して購入する消費者もいます。

ノニジュースが世界的に注目されて20年経過し、多くの研究成果が報告され、ノニジュースの品質管理が向上しています。フェイク情報の流布は止めて、自然の恵みであるノニジュースを「自分の健康は自分で管理する」目的で正しい健康管理と予防医学的に利用していただきたいと願います。

出典
11.自然療法取材班。よみがえる奇跡のハーブ モリンダ・シトリフォリア、ジュピター出版、東京
12.Will McClatchey. Integrative Cancer Therapies, 1(2), p110, 2002
13.Hiramatsu T. et al. Cancer Lett. 73 (2-3): p161, 1993


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